薬剤師の資産形成術として、誰でも資産を増やすことが可能であることをお伝えしています。
今回は、私たちにお金を運んできてくれる、高配当株ETFのVYM・HDV・SPYDについて詳しく解説します。
そもそも投資信託って何?
高配当株ETFとは、配当利回りが高い銘柄で構成された、上場している投資信託のことですが、そもそも投資信託とは何でしょうか?
投資信託とは、株式投資の1つです。株式投資との違いは、投資運用会社が私達投資家から少しずつ集めたお金を、複数の株式や債券に投資してその運用益を投資家に分配する商品であることです。
株式投資は、自分で選んだ会社の株式のみに投資するため、投資対象数が限られます。そのため、ハイリスク・ハイリターンな投資方法と言えます。どちらかと言うと、長く保有するのではなく短い期間で利益を出す目的で運用します。
対して、投資信託は私達投資家が投資運用会社に投資するイメージです。
正確には、投資運用会社が設定する投資の詰め合わせパックと言う、金融商品に投資することです。
この投資の詰め合わせパック=金融商品が、VYMやHDV・SPYDを指すのです。
これらVYM等は株式投資に比べ、分散投資が効いており長期視点で確実に利益を出す目的で設定されています。
VYM・HDV・SPYD 比較表
では、投資の詰め合わせパックであるVYM・HDV・SPYDについて、その内訳を表にしてみます。
ティッカー | VYM | HDV | SPYD |
名称 | バンガード 米国高配当株ETF | iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF | SPDRポートフォリオ S&P 500高配当株式ETF |
運用会社 | バンガード社 | ブラックロック社 | ステート・ストリート社 |
経費率 | 0.06% | 0.08% | 0.07% |
配当利回り | 3.23%(10年平均) | 3.69%(10年平均) | 4.61%(7年平均) |
構成 | FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスへの連動 (構成銘柄が多く、分散が効いている。更に、成長性も高い) | モーニングスター配当フォーカス指数への連動 (財務健全性の高い銘柄で構成されている) | S&P500高配当指数に連動 (S&P500指数に採用されている中から、配当利回りの高い銘柄で構成されている) |
銘柄数 | 約400銘柄 | 約75銘柄 | 約80銘柄 |
銘柄入れ替え | 1回/年 | 4回/年 | 2回/年 |
セクター | 金融 ヘルスケア 生活必需品 資本財 エネルギー | ヘルスケア エネルギー 生活必需品 情報技術 公益事業 | 金融 公益事業 不動産 エネルギー 生活必需品 |
成長性 | 大 | 中 | 小 |
まず名称ですが、それぞれの金融商品の正式名称を記しています。
・VYM=バンガード 米国高配当株ETF
・HDV=iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF
・SPYD=SPDRポートフォリオ S&P 500高配当株式ETF
ティッカーとは、個々の銘柄を識別するためにつけられた記号のことで、略称と捉えていただくとわかりやすいです。 これまで記載してしてきた、VYM等は、正式名称の略称です。
運用会社の規模がすごすぎる!
運用会社は、どれもアメリカの運用資産会社です。
しかも、世界の運用資産規模トップ5に入る企業です!
運用会社 | 運用資産残高 |
ブラックロック社 | 10.01兆米ドル(1,301兆円) ※世界第一位 |
バンガード社 | 8.47兆米ドル(1,101兆円) ※世界第二位 |
ステート・ストリート社 | 4.14兆米ドル(538兆円) ※世界第四位 |
※2022年10月時点のもので、円表示は2023年4月現在の1ドル=130円で換算しています。
比較用に、日本の資産運用会社トップ3を示します。
順位 | 運用会社 | 運用資産残高 |
第1位 | 三菱UFJ国際投信 | 10兆7,017億円 |
第2位 | 野村アセットマネジメント | 10兆5,965億円 |
第3位 | アセットマネジメマネジメントOne | 8兆4,072億円 |
ブラックロック、バンガード、ステート・ストリートの規模の大きさに驚かされますが、投資をする側として注目すべき点はまだあります。
世界の運用資産規模トップ500社では、この10年の間にランキングから名前が消えた運用会社は200を超えています。 そんな中、この3社は10年前もトップ3を独占していたのです!
如何に投資先として、魅力的な商品を提供し続けているかが分かりますね。
極限まで低い経費率!
経費率は、この商品を保有するのにかかる手数料と考えて下さい。
どれも0.1%を切っており、驚きの低さです。
例えば、VYMに100万円投資して掛かる手数料は、600円/年となります。
一般的な投資信託の経費率は、安くても0.1%~1%前後なので、投資金額が大きくなれば差も大きくなります。
資産運用を考える上で、経費率(=手数料やコスト)は重要事項です。
ちなみに、銀行や証券会社の窓口で資産運用を相談して投資商品を購入すると、平気で1~2%やそれ以上の手数料を取られます!
高い手数料を払っていては、いつまで経っても資産形成はできません。
資産を増やしたい方は、銀行や証券会社に立ち寄らず、必ず自分で購入まで進めて下さい!
わざわざ足を運んで毎年数万円を無駄に取られ続けなくても、今の時代は自分の部屋で簡単に優良投資商品を手に入れられます。
高い利回りと、世界に指示されている安定性!
配当利回りは、平均でも3%以上を維持しており非常に優秀です。SPYDに至っては、4%台です。
実際の配当金受け取りには、米国で10%、日本で約20%が課税されるためこれより低くなりますが、それでもこの配当利回りは魅力的な数字となっています。
★注意!!★
投資商品の中には、これらよりももっと配当利回りが高いものを謳っているものも沢山あります。
しかし、そのほとんどは投資家から集めた積立金を取り崩していたり、資産を売却したりして配当金を出しています。
そうなると、ゆくゆくは大幅な減配や株価の暴落が起きてしまい、資産形成どころでは無くなってしまいます。
投資信託に限らず、高い配当利回りを謳って出資者・お金を集める手法は、古くから使われている詐欺の手口です。ポンジスキームと呼ばれる手法で、現代もこの手法でお金を騙し取られる被害が後を絶ちません。 最近では安愚楽牧場事件、日経225先物アービトラージ詐欺事件、ジャパンライフ事件等がありました。どれも、高い利回りを謳って多額のお金を集め、実態はその集めたお金の中から配当金を出していたに過ぎません。
高い利回りは、どんな人にも魅力的に映ります。しかし、あなただけに用意された甘い話は無いのです。
ここで紹介しているVYM等は、その構成が明確となっており、世界中の投資家から支持を得ている商品です。運用会社が過大な宣伝をするまでもなく、投資したい人が後を絶ちません。それほど完成された投資商品です。 高い利回りに踊らされず、中身をみて判断しましょう。
「ここだけの話」や「あなただけに紹介する」「絶対に儲かる」ような話には、近づかないようにしましょう。
ぶれない構成で、自動リバランスをかけてくれる!
構成は、「どの株や債券で構成するか」を示しています。
目標とする指数(指標)が明確となっており、決められた基準通りに取捨選択され、構成されます。
銘柄数はそのEFTが、何本の株や債券で構成されているかを示すものです。
数が大きい程、分散が効いていると言えます。
銘柄入れ替えは、年に何回構成銘柄を入れ替えているか?を示しています。
指数に入る銘柄は変動するため、常に指数と連動できるようにメンテナンスを行っているのです。
セクターは、現在どの分野の会社銘柄で多く構成されているか?を示しています。
HDVを例に出して見てみましょう。
HDVのモーニングスター配当フォーカス指数とは、モーニングスター社が定める「モーニングスター米国株式指数」と呼ばれる株式群の内、財務の健全性が高く、かつ持続的に平均以上の配当を支払うことができると認められた銘柄群です。
HDVは、このランキングの上位75社の銘柄で構成されています。
そして、ランキングは常に変動することもあるため、4回/年の入れ替えを行っているのです。
つまりHDVを所有しているだけで、自動で銘柄の見直し(リバランス)をしてくれるのです!
これを自分で行おうとすると、とてつもない労力と時間がかかります^^。
ちなみに、このようなベンチマーク(指数や指標)に連動する運用成果を目指す投資戦略を、パッシブ運用と呼びます。
反対に、ベンチマークを上回る運用成果を目指す投資戦略をアクティブ運用と呼びます。
驚くことに過去のデータからは、アクティブ運用よりパッシブ運用の方が成長率が高いとの結果が出ています!
つまり、市場平均を上回るためにプロが銘柄を選んでも、全体的には指数を追い続けた戦略には勝てなかったのです。
素人でも、VYM・HDV・SPYDのような優良な投資商品を選べばプロの投資戦略に勝ててしまいます!
所有しているだけで価値が上がる? 成長性も見込める!
最後に、成長性です。このETFがどれだけ成長するか=価値が上がるかを示しています。
配当で得られる利益をインカムゲイン、保有資産の価値が上がり利益となることをキャピタルゲインと呼びます。キャピタルゲインは配当金のように定期で入ってくる利益ではなく、売却時に初めて利益となります。
高配当株ETFは、アップルやテスラのような成長株企業ではなく、配当金が多い企業が多数を占めています。全く成長しない訳ではありませんが、どちらかと言うと配当金を安定して出せる位の成熟した企業で多く構成されています。
その中でも、VYMは多数の銘柄で構成されていることもあり、キャピタルゲインも見込める銘柄と言えます。
反対に、配当利回りが高いSPYDの成長性は緩やかです。
以上、プラスのキャッシュフローを生む資産であるVYM・HDV・SPYDの解説でした!
この3つは、所有しているだけで年に4回あなたにお金を運んできてくれます。
正に不労所得であり、しかも構成がしっかりしているため破綻の可能性はほぼ0です。
これを読んで下さっている方には、過剰に勧誘されるような怪しい投資商品よりも、世界の巨大資産運用会社が提供する、安全性の高い商品に興味を持ってもらえれば幸いです。
次回は、高配当株ETFのメリットだけでなく、他の投資信託と比べたデメリットも紹介します。
コメント