薬剤師が知っておきたい税金・保険料の行方

薬剤師 転職

わたしたち薬剤師が働いて得る給与から、毎月引かれている税金や保険料についてご存知でしょうか?
給与から自動で引かれている社会保険料って税金?保険料?
その使い道はどこに行く?

国民の三大義務である「納税」の視点から、自分の給与明細を見比べてみましょう!

給与控除の中身を知ろう!

毎月の給与から自動的に引かれるものは、一般的には下記にあるものです。
ちなみに「給与から自動で引かれること」は「差し引くこと」であるため、
「天引き」や「控除」といった言葉を使うこともあります。

・健康保険料
・介護保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・所得税
・住民税

給与明細の「控除」欄に記載されているものですね。
介護保険料の支払いは40歳を超えた月からなので、この項目が無い人もいます。

社会保険料とは、上記の
・健康保険料
・介護保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
に、
・労災保険料
を加えた5つのことを指します。
会社に属している従業員が保険料を負担するのは労災保険料以外です。
労災保険は従業員の負担はなく、会社が全額負担します。
それ以外の保険料は、従業員と会社の双方が負担しています。

健康保険料などの社会保険料は、「税金」ではなくその名の通り「保険料」です。
つまり、私たちの給与から自動的に引かれている「税金」は
・所得税
・住民税
の2つです。

たまに給与から引かれる税金について話をしていると「健康保険料や厚生年金保険料が高くて~」なんて意見が出ることがありますが、保険料と税金は全くの別物ですので混同しないようにしましょう。

ですが、その使い道を見てみると面白い結果になります。

給与控除分はどこへ行く?

では、私たちの給与から控除された社会保険料は、どこへ納められるのでしょうか?
それぞれの保険料は、以下のところへ財源として納められます。

・健康保険料・介護保険料→勤務している会社の健康保険組合に納められる

・厚生年金保険料→日本年金機構に納められる

・雇用保険料→労働局に納められる

上記の・健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は労使折半となり、決められた保険料の50%を会社が負担することとなっています。
給与明細に記載された健康保険料は、実際に健康保険組合へ支払われる金額の50%が記載されています。
雇用保険料は労使折半ではなく、会社の負担分が労働者よりも多くなっています。

次に、税金はそれぞれどこへ納められるのでしょうか?

・所得税→国税のため、国の国家予算として歳入される
・住民税→地方税のため、地方自治体の地方財源となる

ちなみに、住民税は標準税率が決まっているため住んでいる地区によって安くなることはなく、ほぼ一定です。
稀に環境税などを加算して超過課税になっている市町村もありますが、逆に安く調整しているところはありません。

国の予算から見る、わたしたちの給与の行方

ここで一気に話が大きくなりますが、国の税金の内訳について、令和4年度の一般会計歳入と歳出をみてみましょう。

下図の歳入グラフで、私たちの給与明細が関係しているのは「所得税」の部分ですね。

一般会計歳入額と歳出額 内訳令和4年度当初予算

出典:国税庁ホームページ 財政のしくみと役割
出典:国税庁ホームページ 財政のしくみと役割

歳出グラフでわたしたち薬剤師が気になるのは、「社会保障関係費」ですね。
では、その「社会保障関係費」はどのように使われるのでしょうか?

社会保障関係費は社会保障給付費の一部となる

「社会保障関係費」は、社会保障給付費として使われます。

社会保障給付費全体の2023年度予算ベースでは、134.3兆円が計上されています。
社会保険関係費67.3兆円の倍ほどありますね!

では、足りない分はどこから財源を確保しているのでしょうか?
厚生労働省で開示されている情報を見てみましょう。

出典:厚生労働省ホームページ 給付と負担について

上の図【負担】の一番下真ん中にある、国(一般会計)社会保障関係費36.7兆円が、先ほど見た歳入グラフにあった私達の所得税や消費税から構成されている税金です。
(※先に示した国の一般会計歳出は2022年度のため、金額に相違があります。2022年度は36.2兆円)

そして、上の図【負担】の保険料が私達が毎月の給与から天引きされている保険料です。

つまり、私たちが毎月払っている保険料と税金の一部は同じ社会保障給付費に使われています。

あれ?でも保険料は別のところに納められていなかったっけ?
もう一度、納付先を見てみましょう。

・健康保険料・介護保険料→勤務している会社の健康保険組合に納められる

・厚生年金保険料→日本年金機構に納められる

・雇用保険料→労働局に納められる

更にそれぞれの組織が属するところを見ると、全て厚生労働省の下にあることがわかります。

健康保険組合→ 監督官庁は厚生労働省の地方支部局である地方厚生(支)局
日本年金機構→国(厚生労働大臣)の監督のもと公的年金制度の運営を国から任されている
労働局→厚生労働省管轄下にあり、労働基準監督署の上部組織にあたります

保険料の使い道は厚生労働省が監督している、つまり国が管理しているとも言えますね。

お金は廻る


更に社会保障給付費の【給付】に医療費41.3兆円が計上されていますね。
医療費には医科報酬や調剤報酬、公費も含まれています。わたしたち薬剤師が扱う調剤報酬の財源は、保険料と税金も含まれていることになります。

国の財政のしくみから見ても、薬剤師が国家資格である理由が何となく分かりますね。
そして全体を見てみると、2年に一回の報酬改定で調剤報酬が伸びない理由も何となくわかります。

調剤報酬を伸ばすためには、国民に対する薬局・薬剤師の実績や貢献が求められている、とも読み取れます。
薬剤師として目の前の患者さんはもちろん、患者さんの関係者・国民に貢献できる存在となりたいですね!

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